次は好きなことをみつける。最近はボランティア活動によって「自分が役に立っている」と実感できることで、週末に熱心に取り組む人が増えています。あるいは、学生時代に夢中になったスポーツや趣味を再開してみてもいいでしょう。

 新しいことへのチャレンジもいいですが、慣れていることから始めるのがやはり取り組みやすいようです。私の取材の中でも「新たなことに気づき、夢中になって仕事のしんどさを忘れられた」と語ってくれた人がたくさんいました。

 このように、学校にいくのがしんどいときの対策は、社会でも応用が効きそうですね。

 どうしても苦痛がぬぐえない人は、転職活動を始めてみるのもいいかもしれません。しんどいと感じながら無理して同じ職場に行き続ける必要があるのでしょうか? それによって体調を壊してしまっては、元も子もありません。

 どうせならキャリアアドバイザーに会って、話を聞いてもらい、そのうえで転職先を紹介してもらってください。キャリアアドバイザーとは、転職先を紹介してくる存在のこと、彼らは毎日のように転職希望者と会っています。

 取材したキャリアアドバイザーによると、自分でしんどさを抱え込んだ状態のまま、相談に来る人が多い。そうした人は「自分と同じような悩みを抱えている人がたくさんいる」ということを知っただけで気分が楽になるようだと教えてくれました。さらに言えば転職先を紹介してもらうことで「私の居場所は今の会社だけではない」と勇気が出てくると感じる人もいるようです。

 キャリアアドバイザーからすれば失礼な話かもしれませんが、相談して転職先を探してもらうだけでも、しんどいことが解消される人も多いようなのです。ぜひ転職を本格的に決める前に活用してみたらどうでしょうか?

 こうした試みを行っていただくことで、しんどさが少しでも解消されることを願っております。

西野一輝(にしの・かずき)/経営・組織戦略コンサルタント。大学卒業後、大手出版社に入社。ビジネス関連の編集・企画に関わる。現在は独立して事務所を設立。経営者、専門家など2000名以上に取材を行ってきた経験を生かして、人材育成や組織開発の支援を行っている

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