「住む家がない、所持金がない、体調が悪いという人が多い。自分の力だけではどうしようもできない人たちばかり。継続した支援が必要だ」
雇用をめぐる環境は悪化の一途をたどっている。厚生労働省によれば、コロナ禍が引き金になった解雇や雇い止めは12月25日現在で7万9522人(見込みを含む)。9月に6万人を超えて以降、増加のペースはやや緩んだが、12月に入り増加は拡大傾向にある。職種別では製造業が1万6717人と最多で、飲食業1万1021人、小売業1万399人と続き、上位3業種で約半数を占める。
イベント関係で仕事をしていた男性(56)も、コロナで職を失った。コロナ禍でイベントがなくなり会社の経営が悪化し、4月に解雇を言い渡された。住む場所もなくし、知り合いの家を転々としてきたがいつまでも頼れない。所持金は1千円を切り、ホームレスが頭をよぎるようになった。この日は住まいの相談が目的で来て、都が一時宿泊先として確保したビジネスホテルに泊まれることになった。男性は、ほっとした表情で話す。
「ゆっくり寝られる場所があるのは本当にうれしい」
子どもを連れた女性の姿もあった。
3歳の娘と一緒に来た女性(34)は、コロナ禍で夫の収入が減り、自身もアルバイトを減らされ家計が悪化。娘を認可外保育園に預けているが、保育料が払えなくなってきている。両親は高齢なので頼れないという。
「娘の衣料品をもらえないか聞いてみたいです」(女性)
コロナが生んだ「ひずみ」は、長くホームレスをしている人の暮らしにも影を落とす。