マークシートを黒く塗りつぶすだけなら何を使っても同じじゃない? そう思う人も多いはず。でも実は、読み取りに影響が出る可能性があるんです。
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いよいよ第1回大学入学共通テストが1月16日、17日に実施される。その「受験上の注意」には次のように書かれている。
「解答には、必ず黒鉛筆(H、F、HBに限る。)及びプラスチック製の消しゴムを使用してください。黒鉛筆以外のもの(シャープペンシル等)を使用してマークした場合には、解答が読み取れないことがありますので、使用しないでください」
これまでのセンター試験でも示されてきた注意事項だ。多くの生徒は小学校低学年で鉛筆の持ち方などを学校で習うが、中学年ごろからはシャーペンを使うようになる。普段あまりなじみのない鉛筆を入試で指定されることに「なぜシャーペンはダメ?」といった声も聞かれる。
■炭素への反射を読む
鉛筆とシャーペンはそもそもどう違うのか。三菱鉛筆広報担当の奥村華奈子さんが説明する。
「鉛筆の芯は黒鉛と粘土を焼き固めて作ります。これに対して、シャーペンの芯は粘土の代わりにプラスチックを使い、それによって強度をつけています」
大学入試センターが鉛筆を推奨するのは、その「芯の違い」がマークシートの読み取りを左右しうるからだ。大学入試センターの広報は言う。
「マークシートは炭素への光の反射を読み取っています。シャーペンの芯には鉛筆と違う成分が含まれており細くて硬い。マーク部分が大きく傷ついたり、へこみが出たりした場合、読み取りに影響が出る可能性があるため鉛筆を推奨しています」
マークシートの読み取りとは、具体的にどのようなメカニズムになっているのか。大学入試のマークシート業務を多く手がける、日本タタ・コンサルタンシー・サービシズの吉村知己さんは次のように説明する。
「マークシートはOMR(Optical Mark Reader)という光学式の機械で読み取ります。炭素に反応する赤外光をあてると、炭素の黒い部分は光を吸収し、白い部分は光を反射する。それによってマークの有無を判別します」