財部氏は、菅氏が克服すべき課題についても指摘する。

「国民への説明は足りていません。菅さんはメディアで言われるほど口下手ではなく、自由に話せば説得的です。官房長官時代に身につけたリスクコントロールの意識が強すぎて、用心深くなりすぎている。GoToも、徹底的にやるのであれば、『なぜ自分が固執しているのか』を、言語化して伝えるべきです。あまりにも発信が足りない。菅さんと親交がある私としては、メディアで伝えられる菅さんの人物像と実際の人となりが、大きく乖離(かいり)していると感じています。それは、菅さんの発信不足・発信の仕方にも問題があるのではないでしょうか。ここぞというタイミングでは国民に向かって対するメッセージをもっと強く伝えていくべきです」

 菅氏が発してきた「自助」の言葉は、しばしば自己責任論とひもづけられ、批判の対象となってきた。この考えを誤解なく浸透させたいのであれば、菅氏が国民と正面から向き合い、言葉を尽くすしか方法はない。(取材・文=AERA dot.編集部・飯塚大和)