「仕事と育児を犠牲にしない」
「他人のお金に頼らない」
「既存のやり方にとらわれない」
昨年10月の茨城県つくば市議選(定数28)で、川久保皆実さん(34)が掲げた3大方針だ。無所属新人、選挙準備期間は約3カ月。それでも3位で当選を果たした。
「仕事と育児の双方が犠牲になるなら、立候補できる人はそもそも限られる。まず自分自身を使い、ハードルを下げる実験をしてみようと思いました」
弁護士とIT企業の代表取締役を務めるほか、2人の子どもを持つ母。選挙では街頭演説をせず、選挙カーも使わなかった。ポスター貼りのボランティアはSNSで募集。保育所送迎の際、日課だったごみ拾いをタスキつきでするなど、日常生活の延長線上に選挙活動を組み込み共感を得た。
東京大学法科大学院修了。IT企業でテレワーク(在宅勤務)しながら、27歳で司法試験を突破した。「場所にとらわれない働き方が社会に広がってほしい」と思い、企業がテレワークを導入する手助けもした。
昨年6月まで、家族4人で東京都千代田区に住んでいた。だが、家賃の高さや新型コロナウイルスの感染リスクを考え、7月に故郷・つくば市にUターン。その2週間後に市議選出馬を決意した。大学受験も司法試験も予備校に通わず、試験日から逆算して計画を立てた経験を生かした。
「やると決めたら、目標から逆算してスケジュールを組むタイプなんです」
市議として、託児所付きのテレワーク施設を新設するなど、子育てと仕事が両立できる環境の整備に取り組みたいという。
「テレワークという働き方が浸透すれば、女性の育児負担が減り、夫婦ともに家事育児を担える家庭が増える。まずは身近な市民を幸せにすることが、結果として国全体の幸福度向上にもつながると思っています」
(本誌・松岡瑛理)
※週刊朝日 2021年1月15日号