「選手がボールを渡すのを遅らせるのはよくありますが、指導者である監督はやらないでほしい行為です。最近の監督は、ピッチに出てくる監督が増えたので、どうしても注目されてしまう。つばを吐く行為も印象がよくありません。私も高校サッカー経験者ですが、グラウンドで唾を吐くなと、監督からずっと言われてきました。黒田監督はほめて伸ばすよりも、根性論や精神論を大事にする、どちらかというと古いタイプの監督です。『百戦百打一瞬の心』が座右の銘にもかかわらず、その一瞬が切り取られてしまったのは残念です」(同)
緊迫した試合の中で、「勝たなければ」という焦りから出た行動かもしれない。だが、同じ立場であるはずの長谷川監督にはそのような行為は見受けられなかった。
黒田監督の試合中の行動についての見解を聞こうと青森山田高校に取材を申し込んだが「サッカー部の担当者が不在」とのことで、回答は得られなかった。
青森山田が日本屈指の実力校であり、黒田監督が名将であることは変わりない。来年はすっきりとした形で、また名勝負をみせてほしい。(取材・文=AERA dot.編集部・飯塚大和)