決勝戦のシュート数は、青森山田が24本、山梨学院が7本。試合は青森山田が優勢のように見えたが、安藤氏は、2-2の結果は妥当だったと分析する。

「山梨学院の長谷川監督は、マンマークの奇策が通用するのは前半45分だけと割り切っていた。あの戦略にすがっていたら、後半で3~4点取られていた可能性も十分あったと思います。青森山田がゲームを支配していましたが、山梨学院は攻守において要所にマンパワーを割くことで、少ないチャンスをものにして相手の決定打を間一髪で防ぎ、2点までに抑えてPK戦に持ち込んだ。まさに、決勝にふさわしいゲームだったと思います」

 試合には敗れたものの、日本屈指レベルのプレーを見せた青森山田。その高いレベルのサッカーには称賛の声が多く寄せられたが、ゲームの内容以外でもうひとつ注目を浴びたことがある。

 黒田監督のピッチ上での行動だ。

 ネット上では、「スローインの邪魔をしていた」「ピッチで唾を吐いた行為は残念」といったように、黒田監督の試合中の態度を批判する声が少なからず挙がった。映像で確認すると、確かにそのように見える行為があった。

 別のライターはこう振り返る。

「距離があまりにも近いので、(黒田監督も)スローインの軌道であることは絶対に気付いていたと思います。もちろんわざとらしく邪魔をするわけにはいかないので、さりげなく前に出ていましたが、あれは邪魔をする以前に、危ない行為です」

 故意かどうかは定かではないが、ピッチの外に出たボールを相手チームに渡す際にも、別の方向に転がす行為が画面に映っていた。

次のページ