箱根駅伝の沿道で声援を送る人々。主催者は沿道での応援自粛を呼びかけたが、各所で「密」になる場面がみられた/1月3日、横浜市鶴見区 (c)朝日新聞社
箱根駅伝の沿道で声援を送る人々。主催者は沿道での応援自粛を呼びかけたが、各所で「密」になる場面がみられた/1月3日、横浜市鶴見区 (c)朝日新聞社
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年越しの直前、混雑する東京・渋谷のスクランブル交差点/2020年12月31日午後11時58分 (c)朝日新聞社
年越しの直前、混雑する東京・渋谷のスクランブル交差点/2020年12月31日午後11時58分 (c)朝日新聞社

 自分はずっと自粛しているのに、街に繰り出して「密」を作る人が許せない。だがその人たちにも事情があるのかも。互いに想像力を持ち合いたい。AERA 2021年1月18日号では、社会の分断を避けるための「想像力」について取り上げた。

【写真】年越しの直前、混雑する東京・渋谷のスクランブル交差点

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 菅義偉首相らが「静かな年末年始」を呼びかける中で迎えた新年。箱根駅伝のテレビ中継には、主催者の応援自粛要請をものともせず幾重にも沿道を埋め尽くす観衆が映し出された。選手が目指すゴール地点で、苦楽をともにしたチームメートや関係者の出迎えがたった1人に限られていたのとは、あまりに対照的だった。

 年末年始、自粛を貫き自宅で過ごした人も多いだろう。一方で、一部の神社やデパートなどでは駅伝の沿道と同様、人々が密集していた。

 東京都文京区の会社員男性(47)は1日、自宅でおせちを食べながらビールとワインを楽しみ、気持ちの良い正月を妻と2人の娘と迎えていた。

 近所には、“ひかわさま”と呼ばれて地元の人たちに親しまれている簸川神社がある。初詣に出かけて良いものかどうか。少しは考えたが、結局、現地の混雑ぶりを確認してから判断することにした。午後2時ごろに神社に着くと、例年と変わらない「密」だった。

 家族には少し離れた所で待っていてもらい、参拝の列には男性1人が並んだ。周りの人たちはそれぞれにマスクはしているが、「ソーシャルディスタンス」などあり得ない。それでも男性が列に並んだのには、根拠のない確信があったからだ。

「僕はコロナには感染しないんです。インフルエンザにかかったこともないですから。これまでも普段通り外で仕事をしてきたから、感染するならすでに感染しているはずでしょう」

 翌2日は、埼玉県にある妻の実家を訪れた。高齢の義母がいるが、参拝にも帰省にも躊躇はなかったという。

 こんな様子がメディアを通じて伝わると、ネットやSNSでは激しい反発も起きる。

「こんな時期なのになぜ?」
「感染しても病院に行くな」

 そしてこう責めたてる。想像力が足りない──。

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