Q:新しいNISAで売却したとき復活する枠は、買ったときの金額? 売ったときの金額?

A:「買ったときの金額(簿価)で計算される。非課税保有限度額も簿価残高方式で管理、つまり買ったときの金額を累計していく。よって、金融商品の購入後、値段が上げ下げすることによる非課税保有限度額の増減はない」(金融庁、日本証券業協会)

■同じ金融商品を何度も買っていたら、買った価格の“平均”で計算される。たとえばAという株を1年目に60万円で1株買った。2年目に80万円で1株買った。3年目に2株のうち1株を売った。この場合、復活する金額は70万円。何年にいくらで買ったという概念はなく、あくまで「取得単価70万円の株を2株持っている」と見なされる。

Q:一般NISAか、つみたてNISAをしている人はどうなる?

A:「一般NISA、つみたてNISAは新しいNISAの外枠で管理されるため、新しいNISAに影響はない」(金融庁)

■仮に23年につみたてNISAを始めて年40万円投資したら、新しいNISAとは別扱いで非課税期間は20年。40万円分の非課税枠がお得になるので、新しいNISAの開始を待たずにつみたてNISAから始めるのが吉。なお、一般NISAのロールオーバーは不可に。

Q:一般NISA、つみたてNISAをしている人も、新しいNISA口座の開設手続きが必要?

A:「今、○×証券でNISAをしている人が何も手続きしなければ、自動的に24年から新しいNISA口座が開かれるようにすることを検討中」(金融庁)

■新しいNISA口座が自動で開かれることは「検討中」であり正式決定ではない。なお、新しいNISAを今とは違う金融機関で始めることもできる。また、つみたて投資枠と成長投資枠は同一の金融機関で管理する。「つみたて投資枠はA証券、成長投資枠はB証券」はNG。新しいNISAを別の金融機関で始めたとしても、従来のNISAで買い付けた金融商品を売却せずに非課税のまま別の金融機関に移すことはできない。

◆今回の取材で改めて感じたのは「ネットには嘘が多い」ことだ。間違った内容を発信するインフルエンサーもいた。正式決定ではないことを決定済みのように表現するケースも散見された。「新聞は大丈夫」と思いがちだが、掲載後の制度・解釈の変更で古くなる場合は多々ある。

 こういった新制度が始まる前は情報が錯綜する。今後、新しいNISAに関する追加情報が出てくるだろうが、金融庁を始めとする一次情報を参考に。(経済ジャーナリスト・向井翔太/編集部・中島晶子)

AERA 2023年2月6日号より抜粋

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