「いまのキャンプの治安は悪い。麻薬もはびこっている。島のキャンプが安全なら移りたい」
「キャンプ内には対立するいくつかのグループがある。特定グループを島に移送させようとしている」
「移送されたら、島から出ることはできなくなる。ミャンマーへの帰国が遠のく」
クトゥパロンのキャンプ内では、新型コロナウイルスに感染すると、島のキャンプに移送されるという噂が広まった。難民たちにしたら隔離島のイメージがあるらしい。いまのキャンプで感染者が多くないのは、そのためではともいわれる。
難民への援助が、バングラデシュでは大きな利益を生んでいることが浮き彫りになってきている。ロヒンギャ難民の帰還のめどはまったく立っていない。
■下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(隔週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(隔週)、「タビノート」(毎月)など