襲撃事件の直後、米連邦捜査局(FBI)が、ワシントンと50州の州都に武装市民がデモを行うと警戒を呼びかけた。ワシントンには2万5千人の州兵が集められた。現在イラクとアフガニスタンに駐屯する兵士数の3倍に当たるという。
■植え付けた憎悪は残る
しかし、就任式後も州兵は、議事堂を中心とした米国の民主主義や歴史を象徴する建造物などの警備にあたる。つまり、バイデン氏の大統領就任、イコール、全米の社会的不安や危機の始まりでもある。共和党議員でもトランプ氏から距離を置いた議員が空港で囲まれて暴言を吐かれる事件さえ起きている。
トランプ氏はホワイトハウスから去ったが、彼が支持者に植え付けたバイデン氏と民主党、リベラル派市民やメディアへの憎悪は、根強く残る。
その中で、バイデン氏は就任直後に17本の大統領令に署名した。通常は舞踏会が続く就任式の日の公務は異例だ。気候変動問題へ対処するためパリ協定に復帰することなどに関する大統領令で、向こう10日間で53本に署名する。
「やっと国民に仕えてくれるノーマルな人が戻ってきた」(バルバネルさん)
「分断から結束へ」。バイデン氏は、バルバネルさんやワシントンに来た人々の期待を裏切るわけにはいかない。暴動を警戒し、ベニヤ板が打ち付けられたレストランや店舗が延々と続く異様なワシントンの光景を見ながら痛感した。
(ジャーナリスト・津山恵子(ニューヨーク))
※AERA 2021年2月1日号
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