2、理由を伝える


 ただ「すごいね」ではなく、「前はできなかったのに今日はできてすごいね」などと理由を添えると効果アップ。わかっちゃいるけど、時間がなかったり別のことに気を取られているとなかなか難しいですよね。ただ、「こんなに長いくつひもをひとりで結べるなんてすごいね」と、行為や状態を細かく噛み砕いて子どもに教えてあげるだけでもいいそうです。

3、スキンシップをとる
 これも日本人にはハードルが高いかもしれませんが、ハグ、キス、またはハイタッチなどでもいいので、「すごいね!」のほめ言葉と共に体を触れ合わせるのが効果的だそうです。こちらの気持ちが、スキンシップを通じてより強く子どもに伝わるのでしょう。

4、すぐにほめる
 これはNGなほめ方の逆で、子どもが何かいい行いをしたら間髪入れずにほめるのがコツだそうです。言うは易し、行うは難しですけどね。

5、他の大人に伝える
 子どもがいい行いをしたとき、そばに夫や妻、ママ友・パパ友、親(おじいちゃんおばあちゃん)、園・学校の先生などがいたら、「ねえ見た? 今、〇〇ちゃんがこんなことできたの!」と他の人に共有してあげるといいそうです。「大人」限定なのは、子どもにそう伝えると比較することになってしまうから。比較は、たとえ大人に悪気がなくても「〇〇ちゃんはこんなことできたね(でもあなたはできないね)」というメッセージとして子どもに伝わってしまうのです。

 以上5つが、《戦略的ほめ方》です。いきなり全部始めるのは難しいのでまずは取り入れやすいものから少しずつ、というのがカズディン教授のアドバイスです。我が家でも2や4あたりは気を付けるようになってきました。5も状況が許せば案外簡単で、しかも楽しいです。子どもの得意げな顔が見られるのが、なによりうれしいです。

 ところでサラッと流してしまった《日常的ほめ方》ですが、皆さんは日々行っているでしょうか。私はアメリカに住んでいる分「日本にいたときよりできてるよ」と思っていたんですが、アメリカ人と比べるとなかなかどうして、圧倒的にほめ言葉の種類と量が足りないなと気づいてしまいました。日本語で手軽に言えるほめ言葉というと「すごい」「えらい」など、英語と比べるとどうしても単調になってしまいますし、アメリカ人ときたら、相づちとしてさえGreat、Fantastic、Wonderful、とほめ言葉を惜しみなく使うのですから。

 そんなのはただの形式だ、心が伴っていなければ意味がないという考え方もありますが、ポジティブな言葉というのは耳にするだけでポジティブになるものです。幼い子どもならなおさらでしょう。《戦略的ほめ方》のその前に、日本人としては《日常的ほめ方》も見直さなきゃいけないな、もっとほめ言葉の種類と量を増やさなきゃな……と、呼吸をするように人をほめるアメリカ人を見て思うのでした。

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◯大井美紗子
おおい・みさこ/アメリカ在住ライター。1986年長野県生まれ。海外書き人クラブ会員。大阪大学文学部卒業後、出版社で育児書の編集者を務める。渡米を機に独立し、日経DUALやサライ.jp、ジュニアエラなどでアメリカの生活文化に関する記事を執筆している。2016年に第1子を日本で、19年に第2子をアメリカで出産。ツイッター:@misakohi

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