■桜【夢見草(ゆめみぐさ)】
春の花の代表ともいえる桜。その華やかさと花びらの散る幻想的な様子から、「夢見草」の異名があります。草木などの異名を詠んだ歌を集めた室町時代の歌集『蔵玉和歌集(ぞうぎょくわかしゅう)』では、桜について「うゑ置きて たとへにやみる 夢見草 あすをも知らぬ 今日の命を」と詠まれています。
■フタリシズカ【二人静】
茎の先に2本の可憐な花穂をつける姿を、能「二人静」で静御前(しずかごぜん)の霊と、その霊に憑かれた菜摘女(なつめ)がそろって舞う姿から連想したのが名前の由来。花穂は2本のものが多いですが、1~5本のものもあります。別名サオトメバナ(早乙女花)。また「二人静」に対し、「一人静」という花もあります。
■漢字は姿を表す? 花いろいろ
花の見た目が、あるものに似ていることからつけられた漢字があります。銀色の花穂の「猫柳(ネコヤナギ)」は、猫の尻尾に似ていることから名付けられたとされ、手触りもフワフワして猫の毛並みのようです。シダ植物・スギナの胞子茎「ツクシ」は、土の中から頭を出した様子が筆に似ていることから、「土筆」と漢字を当てられました。白い小さな花を咲かせる「ツメクサ」は、葉の形が鳥の爪のように見えることから「爪草」という名前がつきました。
※週刊朝日 2021年2月12日号
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