■立って仕事をする工夫

 効果的なのは、立つ習慣をつけること。岡教授の研究室では、立って使うスタンディングデスクを導入していた。職場によっては高さが変えられる昇降型の机を採り入れた企業もあるだろう。同じ環境を自宅でも整えられれば理想的だが、実際はそうもいかない。岡教授が提案するのは、立ってできる仕事に何があるのか、まずは整理してみることだ。

「資料を読むとかちょっとしたメールを返すとか、立って行っても支障がない作業は意外とあると思います。会社にいる時よりも自由度が高い在宅勤務だからこそ、工夫できる裁量も大きい。文章のチェックなどミスが起こりやすい仕事は立って環境を変えてみるとより集中できることもありますよ」

 こうしたコロナの健康2次被害に対して、個人で取り組むには限界があり、社会全体で取り組むことが重要だと筑波大学人間総合科学学術院の久野譜也教授は強調する。

「経営者の判断で心配なのは、在宅勤務を増やすのがいいことだと捉えすぎていないかということ。一時的なコスト減にはなるかもしれませんが、社会との関わりが減れば、世代に関係なくストレスが高まります。メンタルヘルスが悪化しても、なかなか本人は気づきにくい。社内にいれば、ミスが増えるといった様子から気づいてくれる人がいるかもしれないけれど、その機会も少ない」(久野教授)

 さらに、高齢者が外に出ないのは、本人が怖がっているだけでなく、子どもから止められている場合も多い。自治体の開催する運動教室なども相次いで中止されてしまう背景に、いわゆる自粛警察的な人たちが多数いる現状がある。

 ウィズコロナの生活が常態化してきた今だからこそ、1次的な感染予防だけでなく、親や同僚を含めた社会に対して目配りをし、現役世代を含めて2次被害を予防することも重要だ。(編集部・高橋有紀)

AERA 2021年2月15日号より抜粋

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