線路や踏切への立ち入りは「鉄道営業法」で禁じられている。違反した場合は1千円以上1万円未満の科料となり、列車が止まれば、刑法の往来危険罪が適用されることもある。
撮り鉄歴45年の早坂元興(もとおき)元アサヒカメラ編集長は言う。
「もともと、撮り鉄にはある程度のルールがあった」
早坂元編集長によると、ベテラン撮り鉄が多い「お立ち台」と言われる撮影ポイントで列車を撮る際は、列車の全編成が入る位置から、70~200ミリの望遠レンズなどを使い線路から下がって、譲り合いながら撮るのが暗黙の了解。それが、近年携帯電話やコンパクトカメラが普及し、誰でも気軽に写真を撮れるようになって状況が変わった。これらのカメラは広角レンズが中心で、被写体を大きく撮るには自然と前に出ざるを得ない。その結果、車体や線路近くに人が密集し、トラブルを引き起こすなど、マナーの劣化にもつながったと見る。
「昔は、最初ベテランに連れて行ってもらい、マナーを教わったものだが、今はインターネットで情報が簡単に入るので、一人で行くようになった。マナーを学ぶ機会も減り、危険な行動も目立ち始めている。そうした変化がモラルハザードを引き起こしているのかもしれません」
※AERA 2013年4月22日号