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「うっせぇわ」のヒットの仕組みとSNSでバズる法則
今、中高生や小学生の間で大人気になっている曲が、「うっせぇわ」です。高校生シンガーのAdoさんによる楽曲で、ミュージックビデオはYouTubeで3カ月半で6000万回再生を超える大ヒットです。大人が聴くと気恥ずかしいくらいに典型的な「中二病」をこじらせた曲ですが、なぜこの曲が若者の心をわしづかみにしているのか、SNSから生まれるヒットの法則について解説します。
「うっせぇわ」のヒットを分析する際に重要なポイントは、この曲がYouTubeやTwitterなどのSNSを起点としたヒットであることです。従来、音楽のヒットはテレビのドラマ主題歌や、街で流れている曲が起点となっていましたが、昨今ではYouTubeやTikTokなどのSNSを起点とした音楽のブームも主流となりつつあります。鬼滅の刃のアニメ主題歌「紅蓮華」と瑛人さんの「香水」は、どちらも令和の大ヒット曲ですが、この2曲は、ヒットの起点や経路が違います。「うっせぇわ」は典型的なSNSでバズるタイプの曲です。では、SNSでヒットする音楽の要素は何なのでしょうか。
まず、キャッチーであることです。端的に言えば、歌いやすくて覚えやすい曲です。「うっせぇわ」も、この条件に合致します。次にSNSでバズる要素として、「共感」と「拡散」です。SNSのヒットでは、必ずこの2つのモーションを経る必要があります。音楽を聴いた人が、(私もそう思う!)と、歌詞や内容に共感して人に伝えてヒットするからです。最後に重要なのが、「SNSっぽさ」です。メジャーなTVの歌番組などで流れているような「王道の楽曲」ではなく、マイナーなインターネットのコンテンツ、という雰囲気です。若者は「人と違う自分」や「みんなが知らなそうなものを知っている自分」でありたいので、インターネットのアングラな雰囲気の曲やミュージックビデオがSNSで流行しやすいのです。