2月17日の衆院予算委員会で菅義偉首相が「3万円は目標の目標のまた目標だったので感慨深い」と答弁したのは日経平均株価のこと。2月15日、30年半ぶりに3万円の大台を回復した。
昨秋の米国大統領選挙前後から日米で株価が上昇し、米ダウ平均は史上最高値更新を続けている。最近の株価上昇について、三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「昨年来の金融緩和による金余りで株式市場に資金が流入しており、3万円も通過点になりそうです」と語る。
足元の株式市場では、3月期決算企業の業績発表で一部の業績好調が確認された。コロナ対策のワクチン接種が国内でも始まり、経済の正常化への期待も高まる。さらに、米バイデン政権が巨額の経済対策を早期に実施するとみられている。これらが株価をさらに押し上げていると市川氏は話す。
日経平均はどこまで上がるのか。今年半ばに向けて「3万2千円が視野に入った」とみるのは楽天証券経済研究所の香川睦チーフグローバルストラテジストだ。
「株式市場は今年後半には経済が正常化するとみている。金余りによる相場から、企業業績をより重視する相場への移行が視野に入ってきています」
市場関係者が気にするのは米国を中心とした世界の長期金利の上昇により、債券などに資金がシフトすることだ。香川氏はこう話す。
「米国で長期金利がじわっと上がってきた。思ったより速いペースで上昇すると、株価はいったん下がる可能性が高い」
マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストは、日経平均が次に目指すのは1989年末につけた3万8915円の「史上最高値の更新」だとして、こう語る。
「次の好材料はコロナが沈静化すること。目に見えて感染者が減る状況にまだなっていないので想像できませんが、本当に動きだしたら空前絶後の好況になり、4万円を超えてくるでしょう。今度は過熱しすぎのリスクがあります」
(本誌・浅井秀樹)
※週刊朝日 2021年3月5日号