楽天社長の三木谷浩史氏が率いる新しい経済団体「新経済連盟(新経連)」。4月15日夜に行われた「新経済サミット」(新経連主催)の前夜祭には安倍晋三首相が駆けつけ、大きく盛り上がった。団体の今後の展望などについて、代表理事である三木谷氏に話を聞いた。
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──新経連が目指すのは?
これまでの経済団体は従来型の日本の産業、例えば電力、通信、鉄鋼、銀行などを代表する形で、こうした大企業が活動しやすいように、あるいは彼らの利益を守ることに力を入れてきた。その半面、日本では産業の新陳代謝が進んでいない。異次元の技術革新が起き、産業構造を変えなければならない今、オールドエコノミーを助ける政策では、日本は世界の潮流から取り残される。新産業を興し、起業家がどんどん生まれるよう政策提言などしていきたい。
──「新経連はIT企業の利益を代表する業界団体だ」という指摘があります。
世界の潮流を理解なさっていない方の残念な言葉です。今はIT系の企業が新経連に数多く集まっていますが、10 年もたったらIT企業という呼び名はなくなっていますよ。すべての企業がIT化しているから。社会の共通基盤となったITを特定企業と結びつけて考えると、方向を見誤るのではないでしょうか。
──インターネットはすべての産業をのみ込む?
ものすごい破壊力で産業を変えてしまう。何もしなければのみ込まれるだけですが、波の彼方を見据え、破壊の中で創造される新たなビジネスを競い合うのがこれからです。だから起業家精神が必要です。出来上がっている企業は、成功体験を捨てて新しいことに挑戦し続けるしかない。
──楽天も経団連に加盟していましたね。
どうしてこんなに保守的な判断をするのか、なぜもっと前向きに考えられないのか、と不思議でしたが、3.11で電力業界の構造問題があらわになり、やはりこういう体質なのか、と思い知りました。
──どういう体質ですか?
電気も通信も日本の料金は世界的に見てかなり高い。城下町みたいな企業を抱え、株を持ち合い、非効率を温存しながら地域や業界への支配力を維持しているからです。お互いにもたれ合って日本を食いモノにしているような印象です。
※AERA 2013年4月29日号