上野:東大女子は自分ができるところを見せないとか、ばかなふりをするとか聞きますが、そういうのはありますか。

山口:卒業後に、東大出身の上司に「君は賢いと言われるのと、かわいいと言われるのとどっちがうれしいんだ」と聞かれてびっくりしました。賢いとかわいいって逆のベクトルに走らないといけないのって。

上野:なんて答えたの?

山口:私は誰からもかわいいとも賢いとも評価されたくないと言いました。

上野:かわいくない答えをしましたね(笑)。

神谷:私もそんなこと聞かれたら、別にどっちでもいいと言うと思います。

上野:かわいくない女子が増えてきたのね。

山口:正直に言うと、あえてばかっぽいしゃべり方をしたことがありました。語尾上げとかして。「カワイイ」という物差しの中で評価されないといけないと勝手に思い込んじゃって。

上野:東大男子は女子と付き合ったことのない男子校出身者が多いのも問題。東大でハラスメント防止委員会をつくったとき、想定していた教師と学生のハラスメントよりも、学生同士のストーカー事案が圧倒的に多くて驚愕(きょうがく)した。別途ストーカー対策委員会も立ち上げることになりました。

山口:入学したてのころって、男子校出身者と共学校出身者はちょっと雰囲気が違っていて、男子校出身者は女性を理想化してるなって感じました。大学の4年間でだいぶ変わりますけど。

上野:ゆがんだ意識が再生産されているところがある。東大は中高一貫の男子校出身が多いけど、思春期に異性と接する経験がない。社会学者の調査では男子校出身者は夫が外で働き、妻が家事育児をするという保守的な意識が強いことがわかっています。

山口:卒業してからの東大いじりもありますね。私はプライベートで「東大なのに知らないの」「東大なのに洗濯物がたためないの」とか言われて。意外と男の人って学歴コンプレックスが強くて、人をおとしめることでプライドを保とうとする感覚があるんだなと。

(構成/本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2021年3月5日号より抜粋