プリンセスと言えば、どこの国でもファッションリーダーである。これまで報じられた雅子さまの持ち物をみると、シャネルやクリスチャン・ディオール、フェンディのバッグや、ブルガリのネックレスなど外国製をお好みのようだ。
「雅子さまは、青山ツインタワー内にあるドイツの老舗食器メーカー、ビレロイ&ボッホの食器などを愛用されています」(皇室ジャーナリスト)
美智子さまは、普段から日本の伝統文化を少しでも多くの人に知ってもらいたいと気遣いを見せている。日頃から着物や和のデザインを採り入れたドレスを身につけ、食器やシルバーは大倉陶園に上田銀器などの国内メーカーを愛用する。外国産の製品が市場に出回る中、日本の職人にとっても励みになる話だろう。
一方で、外国暮らしが長かった雅子さまは、外国製品になじみがあるだろうし、クリスマスやハロウィーンなどイベントも西洋の行事を自然と受け入れている。
だが、雅子さまも療養生活以前は、メイド・イン・ジャパンの製品も多く愛用していた。雅子さまが、皇太子さまとの婚約会見に臨んだ1993年1月。このときは、デザイナーの角田(つのだ)明美氏による薄い黄色のスーツと、靴デザイナー河村龍介氏が手がけた、同じ布を貼り合わせたパンプス。帽子は、「ベル・モード」が選ばれた。
「もともと角田さんは、外交官夫人御用達のデザイナーです。やはり外交官夫人だった雅子さまの母親の小和田優美子さんも、お世話になっていた関係から、雅子さまの婚約時の洋服を手がけるようになり、国内公務や外国訪問、国内外での宮中晩餐の際のドレスなどもお作りしていました」(小和田家の知人)
だが、雅子さまは2003年12月に帯状疱疹を発症し、入院する。このときから、長期療養生活に入ることになる。雅子さまが公式に外国を訪問なさったのは、02年のニュージーランド・オーストラリアが最後で、療養以降、外出を伴う公務は、ほとんどない。必然的に、雅子さまが新たに洋服などを購入することは、ほとんどなくなった。
「療養以前は華やかな色の服もお召しになっていましたが、ここ10年は濃いグレーか淡い色のものばかりです。もともとぜいたく品は好まれない方ですが、いまはお召し物自体にあまり興味がなくなってしまわれたように感じます。既製服にサイズ調整などの手を入れてお召しになることもあります」(東宮職関係者)
4月14日に姿を見せた「オール学習院の集い」でも、雅子さまはチャコールグレーのパンツスーツと白いタートルネックに黒っぽいパンプスを合わせていた。このチャコールグレーは、雅子さまのお気に入りのカラーである。ちなみに、パンツスーツとタートルネックを愛用するのは、寒がりの雅子さまなりの防寒対策のためだという。
こんな話もあった。帽子デザイナーの平田暁夫さんが、記憶を振り返る。「雅子さまは、普段から飾りのないシンプルなデザインが好みだ、とおっしゃっていました。しかし、あるとき、こうご説明したのです。帽子のアクセントにリボンや花をつけると、公務の際でも、周囲の人の視線が、顔だけに集中しなくなりますよ、と」。
それを聞いた雅子さまは即座にこう答えた。「あっ、いいですね。そうしてください」。
もともと、“シャイ”なご性格のようであるが、オランダ国王の即位式では、雅子さまのファッションも注目されるだろう。
※週刊朝日 2013年5月3・10日号