だが、時代は令和。おとなしく耐え忍ぶ女ばかりではない。水野元会長に暴行を受けた被害女性も、原田元会長の妻の谷村さんも警察に被害を訴え、暴走経営者らは報いを受けることになった。
それでも、表沙汰になるのはごく一部。暴走するゴーマン経営者は、ゴロゴロいる、と話すのは前出の岡野さん。
「傲慢な経営者を親に持ち、その支配下から逸脱できない人にありがちですが、若くても女性をモノのように扱う男性はいる。こんな相談を受けたことがあります」
女性は、40代の夫から離婚を迫られていた。夫は、年収数千万円という高スペックな経営者。
「おやじが、お前(妻)を気に入らない」
夫婦には娘もいるが、「おやじがいいという女性と結婚して、男の子を産ませる」とうそぶく。妻が拒否すると、「お前なんかつぶすのは簡単だ」と夫は脅し文句を吐き、携帯電話を壊した。
「万能感を抱く男性に共通するのは、『しつけ』や『教育』だと信じ込み、罪悪感がない点です」
だが先の妻も、やられっぱなしではない。夫の暴言と暴力場面を録音し、離婚交渉の材料とした。
岡野さんは、メドレーの豊田元代表の不倫騒動も、女性を甘くみた結果の不祥事だと分析する。
高スペックな男の妻が、仕事と子育てに追われる生活と知れば、不倫相手は男の不満を補う存在となるべく努力を惜しまない。「妻が忙しくて、料理も手抜き」と愚痴を耳にすれば、手料理をふるまい、「私なら寂しい思いはさせない」と全力で愛情を注ぐのだ。
「妻も愛人もコントロールできているとあぐらをかく男は、女性の扱いもぞんざいになるのです」
外出を重ねると、レストランやホテルのランクを露骨に下げる男性は、珍しくない。最初は五つ星ホテルでも、数回目にはラブホテルに誘う、高スペック男。
「敏腕な経営者ほどケチというか計算高い。肉体関係を結んで『利益』を回収したのちは、投資金額を抑えようと考える」(岡野さん)
愛知県警によると、アルペンの水野元会長はホテルで女性の拒否にあい激怒。暴力をふるい、女性に渡していた現金10万円などを奪った。