iDeCoの最大のメリットといえるのが、拠出・運用・受け取りの三つのタイミングで受けることのできる手厚い税制優遇だ。拠出時は、掛け金全額が所得控除の対象となり、その年の所得税の還付と翌年の住民税の負担軽減を受けることできる。

 所得と掛け金に応じた金額が還付され、会社員なら年末調整、自営業なら確定申告での手続きが必要となる。働き方や収入によって還付額は変わるが、年間数万円の節税になるなど、その効果は絶大だ。

 運用時は、運用益がすべて非課税となる。通常、投資信託などの金融商品で運用を行う際には、運用益に対して20.315%の税金が課されるが、iDeCoではいっさい税金がかからないため、運用益が出た場合、その分を元本に回せば、複利効果で資産を雪ダルマ式に増やしていくことも期待できる。

 受取時にも手厚い税制優遇が用意されている。iDeCoは、年金として分割で受け取る方法と、一時金として一括で受け取る方法、その両方を併用する方法の3パターンの方法を自由に選択することができる。年金で受け取る場合には公的年金等控除が、一括で受け取る場合には退職所得控除が、併用する場合はその両方が適用され、一定額まで非課税となる。特に退職所得控除の節税効果は大きく、iDeCoに30年間加入した場合、会社から受け取る退職金と合算して1500万円まで非課税となる。

先述のとおり、25年積み立てた際の資産額は、定期預金で約690万円、バランス型で約1026万円、積極型で約1370万円という結果だった。ここで、積み立て投資をiDeCoで行っていたとして、税金の還付分をプラスしてみよう。年収650万円の場合、月々2万3千円の積み立てで、年8万2800円の税金が還付される。25年分で207万円となる。これを25年後の運用額にそれぞれプラスすると、バランス型約1233万円、積極型約1577万円にまで達する。

 積極投資をすれば、25年で1500万円の資産形成も夢ではない。2千万円もあと少しで手が届くのだ。

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