先日放送のテレビ朝日系「アメトーーク!」(2021年2月4日放送)で屋敷氏は、MCらのことを「中3」、若手の自分たちのことを「中1」とたとえて納得の笑いをかっさらった。芸人の出世ルートについて「上が詰まっている」「スターはもう生まれない」と言われて久しい。大物芸人にかみつくでも媚びるでもなく「視聴者から見たら全員中学生」と捉える冷静でありながら人間愛に溢れた視線。「エレパレ」が掘り下げるリアリティーが共感と熱狂を巻き起こしたゆえんはここにある。
究極にマニアックなようで、その実、万人に開かれた青春群像劇。人と人が会って話すこと自体が貴重になってしまい、芸人たちが表舞台に出る機会を減らした2020 年に、10年前の話をただただ会話で掘り下げ、振り返るドキュメンタリー映画が生まれたのは必然のようにも思える。コロナ禍のリアルな空気を刻んだ名作の一つとして語り継がれるに違いない。
(文/大島育宙)
大島育宙(おおしま・やすおき)
1992年東京都生まれ。東京大学法学部卒、同大学法科大学院在学中。タイタン所属のお笑いコンビ「XXCLUB(チョメチョメクラブ)」として活動する傍ら、映画やドラマのレビュー動画を配信するYouTubeチャンネル「コンテンツ全部見東大生」を運営。現在は構成作家・広告プランナーとしても活動中。