「アウトロー感のある闇のヒーローには明らかに影響を受けています。それらの作品の現代版が『特命係長 只野仁』だと思います」
三上さんが大絶賛するのが「華の嵐」だ。
「昼ドラとしては異例の視聴率で、一つひとつの演技や台詞が大げさなんだけど、それがいい」
当時は市川崑、五社英雄、深作欣二といった大物監督もテレビドラマを手掛けていた。
三上さんは「夕方は海外ドラマの再放送を見てドキドキし、夜は『金八先生』や『ふぞろいの林檎たち』『スクール☆ウォーズ』を見て熱くなって、いつかこんなドラマ作ってみたいなって思って、それがいつの間にか本当の仕事になった。あのころから、今の自分は何ひとつ変わっていないような気がする」と話す。
一方、『昭和ドラマ史』の著書もある日本大学芸術学部名誉教授、こうたきてつやさんは、
「昭和のテレビドラマには、文学性と美しさもあり、娯楽としてもお話はシンプルでキャラクターはユニーク。感動と楽しさのすべてを満たしていますね」
さらに続けて、
「この機に過去の名作に触れてほしいですね。そうすると、こんなドラマがあったのかという新しい発見があるはずです」
(本誌・鮎川哲也)
※週刊朝日 2021年3月12日号より抜粋