NPB史上最多の通算14回の退場で知られるタフィ・ローズは、近鉄時代のオープン戦でも“番外編”とも言うべき退場処分を受けている。

 02年3月12日の日本ハム戦、2回に先頭打者として登場したローズは、フルカウントから関根裕之の外角フォークをボールと思って見送ったが、丹波幸一球審は「ストライク!バッターアウト!」とコールした。

 ブチ切れたローズは「ブル・シット(くそ野郎)」と口にしたが、「日本の審判は英語がわからないだろう」とタカをくくっていた。ところが、オリックスで通訳の経験もあり、米フロリダの審判学校で学んだ丹波球審は、英語のスラングも熟知していた。即座に「退場に値する言葉」として、ローズに退場を宣告した。

 オープン戦でまさかの退場処分を受ける羽目になったローズは「あの打席のストライクは全部ボール。でも、丹波さんが英語ペラペラなのを忘れていた。ゴメンナサイ」と苦笑いするしかなかった。

 この時点で公式戦でのローズの退場回数は、意外なことにまだ4回。「ゴメンナサイ」と言いながら、その後も全然懲りなかったのも、ローズらしい。

 オープン戦にもかかわらず、両監督が感情むき出しで舌戦を繰り広げたのが、04年3月16日のロッテvsオリックスだ。

 きっかけとなったのは、6回無死二、三塁のピンチで、ロッテ・バレンタイン監督が先発・小林宏之に代えて長崎伸一をリリーフに送った場面。マウンドで捕手・里崎智也と打ち合わせをしていると、三塁コーチャーズボックスに立ったオリックス・伊原春樹監督が「早うせえ。ハリー・アップ!」と英語まじりに文句をつけた。

 これに対し、バレンタイン監督も「そんなに試合を短くしたければ、お前の(ブロック)サインを素早くしろ」とジェスチャーまじりに言い返した。

 第2ラウンドは7回。オリックスが無死二塁のチャンスをつくり、次打者・早川大輔が打席に入るのが遅れると、今度はロッテベンチから「早くしろ!」の声が上がる。伊原監督が「ドアホ!」と応じると、バレンタイン監督も「バカヤロー!」を意味する英語のNGワードで対抗。さらに三塁の伊原監督を指差し、「ゲット・アウト(ベンチに引っ込め)」と罵倒した。

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