昨今は、パートナーの不倫に泣かされる女優や女子アナが世間の話題になることが多い。だが、愛する夫の浮気に借金、逮捕といった逆境をものともせず、苦労を笑いに変えて、明るくポジティブに人生を謳歌してきた女優がいる。中村玉緒(81)だ。
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父親に人間国宝の中村鴈治郎を持ち、歌舞伎界の名門のお嬢様として生まれ育ち14歳で女優デビューした玉緒は、俳優・勝新太郎から熱烈な求愛を受けて22歳の時に結婚。その後は、芸能界屈指のおしどり夫婦として知られ、今でも「生まれ変わってもあの人と一緒になりたい」と語るなど、勝を愛し続けている。
とはいえ、これまで歩んで来た道はけっして平坦なものではなかった。夫は豪放磊落なイメージと愛嬌のある人柄で愛された昭和を代表する大スターだけに、結婚後も自然と多くの女性たちがその周りには集まった。
「当時は『女遊びは芸の肥やし』なんて言われていた時代でしたし、今どの人と付き合っているのか分からないくらい相手も多くて、やきもちを焼くヒマがなかったんです。それに私は15歳であの人と出会って、他にほとんど恋愛というものをしないまま結婚したので。他の男性と比べようもなかったですし、それが当たり前という感じでしたね」
困難は夫の女性関係だけではない。記者会見での「もうパンツは履かない」という“迷言”が生まれた米ハワイでの麻薬所持による夫の逮捕、勝の映画制製作への徹底的なこだわりと毎晩繰り広げられる豪遊による総額14億円もの借金など、さまざまな逆境が玉緒の身に降りかかる。そんな中、1997年に最愛の夫だった勝は旅立ってしまった。
それでも、玉緒は毎月500万円ずつ20年以上かけて借金を返済し、80歳を超えた今も女優、タレントとして芸能界の最前線で活躍している。
「私はお金に恵まれていないけど、人には恵まれていると思います」
こう話す玉緒が明かすのは、2人の恩人の存在だ。
1人はエリザベス・テイラー、グレース・ケリーらのドレスを制作するなど日本を代表する友禅作家として世界中で活躍する千地泰弘氏。