自民党は昨年4月に「憲法改正草案」をまとめた。現行の日本国憲法との主な相違点は下記の通り。
◆ここが違う!自民党憲法改正草案と日本国憲法
<天皇>
(現行) 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴(1条)
(自民党案) 天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴(同)
(現行) 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし(3条)
(自民党案) 天皇の国事に関する全ての行為には、内閣の進言を必要とし(6条4項)
(現行) 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ(99条)
(自民党案) 国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う(102条2項)
<前文冒頭>
(現行) 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し(中略)ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する
(自民党案) 日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される
<国旗・国歌>
(現行) 記述なし
(自民党案) 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする(3条)日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない(同2項)
<国防軍>
(現行) 記述なし
(自民党案) 内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する(9条の2)国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める(同4項)
<自由・権利>
(現行) 自由及び権利は(中略)公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ(12条)
(自民党案) 自由及び権利は(中略)公益及び公の秩序に反してはならない(同)
<家族>
(現行) 記述なし
(自民党案) 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない(24条)
<財政の健全性>
(現行) 記述なし
(自民党案) 財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければならない(83条2項)
<緊急事態>
(現行) 記述なし
(自民党案) 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる(99条)緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も(中略)国その他公の機関の指示に従わなければならない(中略)基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない(同3項)
AERA 2013年4月8日号