アイドルグループ「AKB48 Team8」の元メンバー・舞木(もうぎ)香純さん(23)は、中学時代に地元福島で東日本大震災を経験した。AKBに入るきっかけになったのは、そのとき被災地支援で訪れた先輩達の活動だった。その後は自身も支援で地元に入り、元気づけてきた。あの日から10年。地元への思いなどを語った。
10年前の3月11日、福島県沿岸部の町に住んでいた舞木さんは中学2年で、バレーボール部の活動で体育館にいた。
「突然、ゴーっという大きな地鳴りがして突然、下からドスンと突き上げられるような、生まれて初めて経験する大きな揺れでした。怖くて怖くて立っていられず、揺れが収まってから先生の指示で、学校裏手の高台に避難しました。町に津波が押し寄せたのは、その直後でした」
幸い、中学も自宅も高台にあり、津波からは逃れたが、見慣れた町が目の前でのみ込まれていった。
「怖くて見ることができませんでした」
翌12日には福島第一原発1号機が爆発し、13日に避難指示が出ると、家族で隣市の親戚宅へ身を寄せた。
「その後、自宅には帰れそうもなかったので、中学は転校し、マンションを借りて住民票も移すことにしました」
震災から2年後の13年3月11日。AKBのメンバーが、震災直後に立ち上げたチャリティ活動「誰かのために」プロジェクトの一環で、福島県内の被災地を訪れていた。
このとき、舞木さんは高校1年。AKBに特に興味はなかったが、たまたま友達に誘われ、イベント会場に足を運んだ。
「私も歌やダンスが大好きで芸能界へのあこがれもあったのですが、その頃興味を持っていたのはK-POPで、AKBはあまり知らなかったんです。“テレビに出てる有名人”。そんな感じでしたね。行くのが遅くて、後ろの方から見ていたくらいでした」
何げない気持ちでイベントを眺めていたが、ライブが始まると、ひきつけられた。歌っているのはたった6人。それも後方から見ていただけだったが、「とてもかっこ良く、キラキラ輝いて見えました。アイドルって、みんなに元気をくれるし、すごい存在だなって感じたんです」。