一方の並木は足のスペシャリストとしての期待が高い。初の対外試合となった2月17日のDeNAとの練習試合ではサード前のゴロを持ち前のスピードで内野安打とし、続く打席では相手のエラーで出塁するとすかさず盗塁も決めている。打撃に関してはまだまだ一軍レベルでは苦しみそうだが、肩の強さもあるため外野のバックアップ要員としてベンチに入れておきたくなる選手である。

 最後に忘れてはならないのが高卒ルーキーながら話題をさらっている秋広優人(巨人5位・二松学舎大付)だ。キャンプでは二軍スタートだったものの、2月11日の紅白戦で3安打を放つと、翌日には一軍昇格。オープン戦でも7日の日本ハム戦でマルチヒットを記録するなど、高卒とは思えない打撃を見せている。身長2メートルという長身がクローズアップされるが、高校時代は投手として140キロを超えるスピードをマークしており、運動能力の高さも申し分ない。選手層を考えるとまずは二軍で経験を積むシーズンになることが予想されるが、このままの勢いを持続できれば王貞治以来となるチーム62年ぶりの高校卒開幕スタメンの可能性もありそうだ。

 トータルで見ると今のところ阪神、広島、ヤクルトの3球団のルーキーが目立つが、他球団からもまだまだここから巻き返してくる選手が出てくることも十分に考えられる。開幕から多くの新戦力が躍動する姿を見せてくれることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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