他のチームでは広島の栗林良吏(1位・トヨタ自動車)、森浦大輔(2位・天理大)、大道温貴(3位・八戸学院大)の上位指名3投手が見事な投球を続けている。3月7日のヤクルトとのオープン戦では揃って1回を無失点と上々のデビューを果たした。栗林は社会人ナンバーワン投手の評判通り、150キロに迫るストレートと鋭く落ちるフォーク、目線を変えるカーブといった多彩な球種を操り、その完成度はルーキー全体の中でも頭一つリードしている印象を受ける。新人王の有力候補の一人と言えるだろう。
森浦のストレートは140キロ台前半が多くそれほどスピードがあるわけではないが、上手くボールの出所を隠し、サウスポーらしい角度が光る。大道はいかにも本格派らしい躍動感あふれるフォームで、ストレートの勢いは栗林にも引けを取らない。チーム事情から3人ともリリーフでの起用が予想されるが、揃ってブルペンを支える存在となりそうだ。
投手ではヤクルト1位の木沢尚文(慶応大)もローテーション入りの期待が高い。3月7日の広島とのオープン戦では新外国人のクロンに2ランを打たれて負け投手となったものの、ストレートは度々150キロ以上をマークするなど力のあるボールでアピールした。少しコントロールはアバウトだが、カットボールとスプリットも打者の手元で鋭く変化し、ストレート以外のボールの質も高い。もう少し緻密さが出てこないと貯金を作ることは難しそうだが、慢性的に投手陣が苦しいチーム事情もあるため、開幕ローテーションに入ってくる可能性は十分にあるだろう。
野手では大学卒の牧秀悟(DeNA2位・中央大)、並木秀尊(ヤクルト5位・独協大)の2人が目立つ。牧は紅白戦の第1打席でいきなりレフトスタンドへ特大の一発を放つと、オープン戦の初戦でも山本由伸(オリックス)との初対戦でセンター前ヒットもマークしている。その後は三振が続いて苦しんでいるものの、下半身の安定したバランスの良いスイングでパンチ力は申し分なく、また選球眼の良さも目立つ。
昨年までのラミレス監督は積極的な打撃でどんどん打っていくスタイルの野球だったが、三浦大輔新監督は細かい野球も重視する方針を打ち出しており、四球を多く選び右打ちもできる牧はそういう意味でも貴重な存在と言える。外国人選手が来日するまでの間はファースト、セカンドで起用されることも多いだろう。