

睡眠や休息と並んで生活に欠かせない入浴(岩盤浴やサウナ浴も含む)の習慣は、免疫力を高める。
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「平熱が低いと良くないといった声も多いが、体温が低いことそのものが悪いわけではない」
そう話すのは、東京都市大学教授で温泉療法専門医の早坂信哉さん。
「平熱が低めだからといって、体温を上げることにそうこだわらなくていいと思います。元気で生きている限りは、無理に体温を上げる必要はありません。免疫力は体の総合力のようなもの。大事なのはストレスや疲れをためないこと。入浴でリラックスしましょう。血行促進は免疫力アップにつながります」
入浴による温熱作用で全身の血流循環がよくなると、リンパ液の流れも促進され、免疫細胞の働きもよくなるという。
早坂さんが研究室で実験したところ、38度の湯(入浴剤がわりに食塩入り)に上腕を5分入れると、血流量がおよそ1.5倍に増えた。
日本健康開発財団研究調査部主席研究員で「フロフェッサー」の愛称がある後藤康彰さんは、ポストコロナでも入浴習慣を続ける生活を勧める。
「41度(40度でも可)で10分の全身浴をしましょう」
額に汗がにじむころに浴槽から上がり、水分補給をしっかりとする。あわせて、腸内環境を整えるために発酵食品や繊維質、きのこや根菜類などビタミンが豊富な食材をとる。その消化吸収を妨げないよう、食事前後30分の入浴を避ける。
後藤さんが最近注目するのが「コロナ禍の温泉ステイで免疫力を上げる」旅だ。キーワードは「食」「動」「休」「笑」「温」の五つ。腸内環境に配慮した「食」、代謝を上げる適度な「動」、睡眠やエステなどの「休」、家族や仲間と過ごす「笑」、これに全身の免疫強化を期待する「温」(温泉)。
1月には伊豆(静岡県)の温泉で、過去1週間に、胃の痛みや胃酸の逆流、吐き気などの消化器症状があった人らが、1週間の滞在でどんな効果が出るか調べた。
その結果、痛み、胃酸逆流、消化不良の3項目で、統計的に有意な数値の低下(改善)が認められたという。
後藤さんが言う。
「温泉地での滞在は、温泉浴でもたらされる血液循環の改善(全身免疫)が期待されますが、腸内環境に配慮した食プログラムを提供することで、腸内環境の改善(粘膜免疫)も期待される可能性が見えてきました」
(本誌・大崎百紀)
※週刊朝日 2021年3月26日号

