今回のクーデターについて、ジャーナリストの木村元彦氏は「AERA」の中でこう分析している。

「(08年制定のミャンマー新憲法には)『国会議員の定数の25%は国軍最高司令官の指名による』と実質的に明記されており、文民統制どころか、本来行政に帰属する軍が立法府である国会に大きな影響力を持つことが前提だ。そして副大統領は3人だが、これもあらかじめ軍人枠が確保されている」「非常事態が宣言されると、司法、立法、行政の三権は統合されて、合法的に国軍最高司令官に全権が委譲されることになっている」
 そしてこう続けている。

「今思えば、いつ爆発するかもわからない時限爆弾のような軍事クーデターの恐怖を脇に、手かせ足かせをはめられたがんじがらめの中で、スーチー氏は執務を続けていた」

 国軍はクーデターの理由を、大掛かりな不正選挙を正すため、としているが、国際社会はそんな理由など受け入れていない。国軍による抗議デモへのすさまじい弾圧に対して非難と怒りが巻き起こり、国連安保理でも制裁が協議されたが、中国、ロシアなどの反対で、それ以上進まないでいる。日本はミャンマーとの関係が深く、何らかの対応をすべきなのであるが。

週刊朝日  2021年3月26日号

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

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