「対面では先生方が『ここをもう一回説明して』とか『このデータはどういう意味だったっけ?』などと気軽に聞いているのに対して、オンラインでは質問が減っていました。先生方も自分では意識していないと思いますが、オンラインだと、相手の話に割って入ることを自然と躊躇し、遠慮してしまうようです。その結果、納得度が低くなる傾向が強いことがわかりました」
■同じことを2回説明
また、対面よりオンラインのほうが、MRが話す時間が長いという結果も出た。
「オンラインだと沈黙が怖いんですよね。特に面談時間が短く設定されると、相手の興味関心を逸らしてはならないと焦ってしまい、早口で情報を詰め込んでしまう。同じデータについて2回説明しているケースも見られました」
一方、同じオンラインという条件下でも、結果を出しているMRに共通する傾向もつかめた。例えば、質問をされなくても、相手が理解できているかを自分から確認したり、納得度を高めるために、データだけでなく、その治療によって患者にどんな恩恵を提供できるのかリアルなイメージが湧く形で説明できていた。
「ストーリーを組み立てておく事前準備の大切さを改めて認識しました。予定より早く終わっても、時間いっぱい話さなくてもいいといった点もコーチングできるようになりました」
これまでビジネスシーンでの「会話」は特別な場合を除いて録音されなかった。だからその場にいた当事者しか知り得ないブラックボックスになっていた。しかし2010年代半ばから米国で会話を録音・データ化し、AIで解析するサービスが登場。日本でも導入が進み始めた最中にコロナ禍が起き、一気に会話の「見える化」が広がっている。
■決断を促すワード必要
見える化でオンライン会話の特徴を把握すれば、身につけるべきスキルや注意点も見えてくるはずだ。コグニティが保有する商談トークデータを使って、成約したトークと失注したトークを比較した結果をまとめた。ポイントは主に三つ。