例えば先の男性のケースで、一次相続の際に財産を法定相続分(母親が2分の1、男性と妹が4分の1ずつ)で分割していたらどうなっていただろう。一次相続で男性と妹が財産を受け取ることでそれぞれ373万円の相続税が発生するものの、二次相続の相続税額は860万円まで圧縮される。結果として、実際の相続と比べてトータルで1134万円もの負担が減る。

 さらに曽根代表は、「配偶者控除を適用するには相続税の申告が必要。また、相続税の申告期限から3年以内に遺産分割を完了しなければならないことも頭に入れておかないといけません」とアドバイスする。

 配偶者控除は「配偶者が取得した財産」に対するものなので、遺産分割協議がまとまらず相続税の申告期限までに配偶者の相続分が決まらない場合は適用されない。

 こうした場合は未分割のまま期限内に申告して納税する必要があり、その際には合わせて「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておく。配偶者控除を適用せずに申告しいったん納税することになるが、申告期限から3年以内に分割が完了すれば配偶者控除が受けられ、納付した相続税は還付される。これが曽根さんの言う「3年の期限」だ。

 なお、“争続”で調停になるなどして3年以内の分割がかなわなかった場合も、事前に管轄の税務署長から承認を受けておけば分割完了時に配偶者控除が適用される。

 配偶者控除の活用に関して曽根代表が注意を促すのは、妻が年上だったり、夫婦の年齢が近かったりするケースだ。

「高齢夫婦の多くは財産が夫に偏在しており、妻のほうが先に亡くなると配偶者控除のメリットをほとんど享受できなくなります。また、先の男性のように二次相続を視野に入れた対策を行っていなかった場合も、夫の死後に間を置かず妻が亡くなると、生前贈与などによる対策の余地がなくなってしまうので注意が必要です」

 昨年4月から適用が可能となった「配偶者居住権」も、配偶者の相続を有利にする制度だ。

暮らしとモノ班 for promotion
大人のリカちゃん遊び「リカ活」が人気!ついにポージング自由自在なモデルも
次のページ