書くことで頭の中が整理されるので、頭に浮かんだこと、考えたことは必ずノートにまとめよう。そして結論を焦って出そうとしないこと。すぐに答えが出る問題ではないので、何度も考え、家族と話し合ったりして徐々に方向性を決めていこう。

「定年後の人生は自分のためにあるわけですから、やりたくないことはやらなくていい。 “~ねばならない”“こうしたほうがもうかる”というより、自分を大事にして自分が幸せに生きるためにはどうすればいいかを考えてください。また、『仕事はしない』という選択肢があるのも定年後ならでは。趣味やボランティア、地域活動などに勤しむのもいいでしょう。いずれそれが仕事に発展していく可能性もあります」

■現役のうちに動き始めよう

 そうはいっても金銭的に余裕がなければ、仕事をしないというわけにもいかない。現在毎月いくらで生活しているのか、資産はどれぐらいあるのか、年金はどれぐらいもらえるのかなど、収支を書き出して確認しよう。

「先のことははっきりとはわからないので、ざっくりとした計算でOK。収入は低めに、冠婚葬祭や病気などイレギュラーな出費に備えて支出は多めに見積もるのがコツです」

 定年後の働き方をどう選ぶかは、チャート(図表1)を参考にしてシミュレーションを。そしてある程度方向性が決まったら、準備を始めよう。

副業や兼業OKの企業が増えているのは、終身雇用・雇用延長は無理だからひとり立ちしてね、という意味。ですから50代の現役のうちにどれぐらい力を蓄えて、定年後に備えられるかが重要になってきます」

 会社にあるソフトもハードも使いこなせるようにしておくと、定年後の武器になる。また棚卸しで見えてきた自分のやりたいことをするために、必要な勉強を始める、資格を取るなどの準備もぜひ働きながら進めたい。

「50代は定年後の働き方について考えたり、準備したりする時間だと思って、きちんと悩み、考える時間を持ってください」

松本すみ子(まつもと・すみこ)
シニアライフアドバイザー。有限会社アリア代表、「NPO 法人シニアわーくすRyoma21」理事長、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー。セカンドライフや地域デビューに関する講座の企画・運営・講師を担当、当事者目線でのアドバイスで人気。著書に『定年後も働きたい。人生100 年時代の仕事の考え方と見つけ方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

(文/植田晴美)

※週刊朝日MOOK『定年後からのお金と暮らし2021』より

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