新型コロナウイルスのワクチン接種は、現時点では16歳未満の子どもは対象者から除外されています。第4波も心配されていますが、子どものいる家庭ではどんなことに注意して生活すればいいのでしょうか。また今後、子どもも対象になる可能性はあるのでしょうか。新型コロナとワクチン接種に関する疑問を、『ママとパパの赤ちゃんと子どもの病気・ホームケア事典』(朝日新聞出版)を監修した兵庫県立丹波医療センター小児科医長の岡本光宏医師に聞きました。
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――そもそもなぜ、16歳未満の子どもがワクチン接種の対象者から除外されているのですか。
「新型コロナウイルスのワクチンは短期間で開発されたこともあり、現時点ではまだ子どもの治験(新しい薬の効果や安全性を科学的に調べるための研究)がありません。そのため、16歳未満の子どもはワクチン接種の対象者から除外されています」
――今後も子どもは対象外なのでしょうか。
「12歳からのワクチンの治験はすでに進んでいます。3月16日には、アメリカのモデルナ社が生後6か月以上の子どもへのワクチン投与の治験を始めました。4月にはファイザー社も続きます。アメリカ小児科学会も子どもへのワクチン接種について積極的な姿勢を示しています(※1)。海外での治験が進み、ワクチンが子どもにも安全かつ効果があるということがわかれば、まず海外から、そして日本でも子どもへのワクチン接種が始まるでしょう。ただ、いつから子どもにワクチン接種ができるかは、はっきりとわかりません」
――第4波も現実味を帯びてきて、子どもへの感染も心配です。
「わかっているのは、日本では10歳未満の小児の約1万人、10歳代の小児の約2万人が新型コロナに感染しましたが、亡くなられた子どもの報告がないことです(2021年2月23日時点)。子どもが高齢者に比べて重症化しにくいのは間違いないのです。そのため、感染の危険がある医療従事者、重症化しやすい高齢者という危険度の高い順に接種が行われるのは、とても理にかなっています」
――とはいえ、子どもは学校や幼稚園、保育園などで集団生活をしています。家庭内感染のリスクもあります。