COVID-19ワクチン接種センターで、ワクチン接種訓練に参加する看護師たち/2月9日、ソウル(Pool/gettyimages)
COVID-19ワクチン接種センターで、ワクチン接種訓練に参加する看護師たち/2月9日、ソウル(Pool/gettyimages)
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AERA 2021年4月5日号より
AERA 2021年4月5日号より

 韓国の新型コロナへの対応は、効率的で素早い対応が目立つ。日韓を比較して見えた制度の違いとは。AERA 2021年4月5日号から。

【日本と韓国の新型コロナワクチン接種者数はこちら】

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 何かと比較されやすい日本と韓国。ロイター通信は8日、新型コロナウイルス感染症ワクチンで、韓国より9日早く接種を始めた日本が、韓国に接種者数で逆転されたと報じた。日本も接種のペースを上げているが、韓国の素早い動きは、国際社会全体でも引けを取らない。

■人口以上のワクチン

 日本は2月17日、韓国は同月26日に、ワクチン接種を開始。ロイター通信は3月5日時点のワクチン接種者の数について日本が4万6469人なのに対し、韓国は29万6380人が接種を受けたと紹介した。

 日本はその後、順調に接種者の数を増やしている。厚生労働省によれば、3月24日時点で、2回目の接種者も含め、のべ74万1180人にのぼった。前日比で約4万人増になり、接種が軌道に乗ってきたようだ。4月半ばまでに医療従事者474万人の接種を終え、65歳以上の高齢者約3600万人の接種は、4月12日の週から始まる予定だ。ただ、16歳以上の対象者全員に行き渡る十分なワクチンを確保する見通しは明確になっていない。

 一方、韓国の場合、中央防疫対策本部などの資料によれば、3月24日終了時でワクチン接種者は、2回目の接種者も含め、のべ73万5815人。前日比2万9415人増。総接種者数で再び、日本に追い抜かれた。ただ、疾病管理庁は、すでに韓国の全人口を上回る5600万人分のワクチン購入を完了していると説明。4月から一般市民向けの接種を本格化させる。9月までに国民の7割が1回目の接種を終わらせ、11月までに集団免疫の状態に持ち込むとしている。

 韓国の新型コロナへの対応に見られる特徴の一つが、過去の教訓を生かした取り組みだ。韓国では2015年に中東呼吸器症候群(MERS)が流行したが、その際、大規模病院での院内感染が起きた。韓国では政府の対策不徹底を非難する声が上がった。その前年には旅客船セウォル号沈没事故が起き、やはり当時の朴槿恵(パククネ)政権の危機管理不足を非難する声が世間から起こった。文在寅(ムンジェイン)政権の関係者は、この非難側の急先鋒にあったため、政権発足後も危機管理では細心の注意を払ってきた。

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