佐々木氏の演出案を擁護する意見については「当事者が自分の身体や見た目のビジュアルをパフォーマンスとしてどのように表現するかという問題と、第三者が人の体について言及する、ましてや差別的な言葉を用いて言及するのは全く異なる話」だと指摘する。
例えば、渡辺さんは米歌手ビヨンセのものまねをするパフォーマンスで人気を博している。これは渡辺さんの自己表現だ。そこに自虐的な側面を見て取るのは、見る側の意識にバイアスがあるからだと山田さんは訴える。
そうした視点はどうやって取り除けばいいのか。自分がされて嫌なことをしないだけでは不十分だと山田さんは言う。
「自覚されていない差別はまだまだあります。自分の中にある固定観念を常に疑い、自分もどこかで差別していないかと考えることが大事です」
(編集部・渡辺豪)
※AERA 2021年4月5日号より抜粋