——コロナ禍で、誰もが人の熱量に触れる機会は減っているのかもしれない。
吉岡:灯火を消したくないなって思いますよね。何かしら燃えていればきっと誰かがその光には気づいてくれるはずだし、絶対に腐らず一生懸命やるのが大事だなと。自分が燃え続けていないと、燃えている人たちと一緒に大きな光を作ることはできないと思うんです。実花さんと今日こうして撮影できることもそうですけど、燃えているからこそ、引きつけ合ったり巡り合ったりできるのだと思います。
——その火が消えそうになったときは?
吉岡:もう私ダメかもしれないとか思うことももちろんありますけど、いったんぐっと堪えて「そんな簡単に物事判断しちゃいけない」「ゆっくり考えてしっかり周りの人を見たら絶対大丈夫」って思うようにしています。今回の撮影のテーマも「春」ですけど、植物は厳しい環境でも芽吹くときは芽吹くじゃないですか。私、植物が好きでずっと育てているんですけど、2年ぐらい花が咲かなかったブドウの花が今年なぜかポンと咲いて。こんなことあるんだってびっくりして、何かぐっと来たんですよね。2年咲かないからもう咲かないだろうと思ってたけど、水をやり続けたら咲くんだ!って。諦めるのはまだ早い、って教えられた気がします。
(編集部・高橋有紀)
※AERA 2021年4月5日号