田原総一朗(c)朝日新聞社
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イラスト/ウノ・カマキリ
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 元法相で衆院議員の河井克行被告が買収を認め、議員辞職の意向を示した。検察の捜査について、ジャーナリストの田原総一朗氏は、自民党幹部まで及ぶべきだと指摘する。

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 2019年7月の参院選広島選挙区をめぐる大規模買収事件で、公職選挙法違反に問われた元法相で衆院議員の河井克行被告が、これまでの無罪主張を一転させた。

 3月23日、東京地裁で始まった被告人質問で「全般的に選挙買収を争うことはしない」と述べ、起訴内容の大半を認めたのである。議員辞職の意向も表明した。

 河井氏はこれまで、現金を渡したのは、妻の案里元参院議員(有罪判決が確定、失職)の票のとりまとめを依頼する目的であったとする起訴内容を否定してきた。

 ところが、「あからさまな投票依頼をしたことはない」としながらも、「妻の当選を得たい気持ちがまったくなかったと否定することはできない」と語り、さらに国政への不信を与えたとして謝罪したのだ。

 そして、議員辞職をする理由を「民主主義の根幹である選挙の信頼を損なった。国民の皆様に取り返しがつかない甚大な迷惑をかけた」からだと説明した。

 さらに、無罪主張を一転させた理由については、長年の支援者たちを法廷で証言させる事態となり、買収の趣旨が全くなかったのかと自問自答したのだと語った。(毎日新聞3月24日から)

 河井夫妻が逮捕されたとき、マスメディアのほとんどは「まるで田中角栄時代のような、あきれた金のばらまき方だ」と大批判をした。地元の議員や後援会関係者たち100人に計約2900万円をばらまいていたのである。

 だが、河井夫妻が大批判を浴びていたとき、実は私はむしろ同情していた。案里氏には参院議員になりたいなどという野心はなく、克行氏にも妻を出馬させたいという気持ちはなかったはずである。参院の広島選挙区は、自民党は溝手顕正氏と野党の議員の2人で安定していたのである。

 ところが、自民党の幹部たちが、「溝手氏は安倍首相を『あの政治家は過去の人。時代と大きくずれている』と強く批判している。あのような議員は落選させなければいけない」と安倍首相(当時)に持ちかけた。そして、そのためには誰かを出馬させるべきだと主張した。自民党の広島県連は反対したのだが、党幹部たちが押し切り、安倍首相も拒めず、2人当選させようと言ってしまったようだ。

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