ハロウ校/岩手県安比高原に2022年8月開校予定の、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンのエントランスイメージ。盛岡駅からバスで約50分(写真提供:ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン)
ハロウ校/岩手県安比高原に2022年8月開校予定の、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンのエントランスイメージ。盛岡駅からバスで約50分(写真提供:ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン)
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ラグビー校/1567年の創立当初は寄宿を基本とする男子校だったが、現在は男女ほぼ半々の共学。通学も可能だが、13~18歳の約800人の生徒のうち9割が寮生活を送っている。オックスブリッジには毎年10%前後が進学する(撮影/編集部・伏見美雪)
ラグビー校/1567年の創立当初は寄宿を基本とする男子校だったが、現在は男女ほぼ半々の共学。通学も可能だが、13~18歳の約800人の生徒のうち9割が寮生活を送っている。オックスブリッジには毎年10%前後が進学する(撮影/編集部・伏見美雪)

 英国の名門パブリックスクールが、来夏、日本に初めて開校する。コロナ禍で海外留学もままならない今、「日本にいながらグローバル教育」が注目を集める。AERA 2021年4月5日号の記事を紹介する。

【写真】英国パブリックスクールの名門 ラグビー校

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 子どもをインターナショナルスクールへ。かつてなら超例外的な進学先だったが、いまでは選択肢としてありうるという親もいるだろう。子どもに英語で苦労させたくないという親心に加え、将来の展望を考え、海外進学を視野に入れるケースも増えているためだ。最新の「THE世界大学ランキング2021」によれば、日本は東京大学が36位、京都大学が54位。アジアだけを見ても、20位の清華大学、23位の北京大学を擁する中国に大きく後れを取っている。

 そんななか、英国のパブリックスクール2校が日本に初めて開校するとあって注目を浴びている。パブリックという名前から公立と誤解される向きもあるが、英国では中世期に富裕層のために作られた由緒正しい私立校を指す。英国全土に7%しかない伝統校として一般の私立校(インディペンデントスクール)とは区別されており、なかでも名門とされるのが、日本に開校するハロウ校とラグビー校を含む9校「ザ・ナイン」だ。

■全寮制ならではの教育

 チャーチル元首相の出身校でもあるハロウ校は、1572年開校。フルボーディングと呼ばれる全寮制の男子校で、毎年約13%が「オックスブリッジ」に進学する。オックスフォード大学は世界1位、ケンブリッジ大学は6位だから、レベルは言うまでもない。日本校では11~18歳の男女を受け入れるという。

 ハロウ校は早くからアジアに進出しており、すでにタイに1校、中国に8校を展開している。なぜいま日本なのか。ハロウインターナショナルを統括するマイケル・ファーリー氏は言う。

「答えは簡単です。ひとつには、我々が日本の人々や文化、価値観に敬意を持っているから。二つめは、ビジョンをシェアできるパートナーが絶好のタイミングで現れたこと。そして最後に、安比高原(岩手県)という、山々に囲まれたすばらしい環境を得られたからです」

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