阪神・木浪聖也 (c)朝日新聞社
阪神・木浪聖也 (c)朝日新聞社

 開幕から3カードを終えたプロ野球。セ・リーグで順調なスタートを切ったのが阪神だ。ヤクルトを相手に開幕3連勝を飾り、4月4日終了時点で6勝3敗と3つの貯金を作っている。チームの最大の武器である強力な投手陣は今年も健在。野手では大物ルーキーの佐藤輝明が苦しんではいるものの、来日2年目のサンズが打線をけん引している。

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 新外国人のアルカンタラ、ロハス・ジュニアが加われば更に戦力は厚くなるだろう。しかしそんな阪神の慢性的な課題となっているのが守備面だ。チーム失策数の過去5年間のリーグ順位を見てみると6位(16年)、5位(17年)、6位(18年)、6位(19年)、6位(20年)と4度リーグ最下位となっている。

 改めて昨年の失策数のセ・リーグ上位の顔ぶれを見てみると堂林翔太(広島・18個)、村上宗隆(ヤクルト・14個)、京田陽太(中日・13個)、田中広輔(広島・12個)と上位には阪神の選手は出てこない。一昨年は大山悠輔が20個、木浪聖也が15個でリーグの1位、2位を占めていたことを考えると、三遊間のレギュラー2人に関しては改善傾向にあると言えそうだ。

 それでも昨年リーグ最多の失策数を記録した原因を探ってみると、守備機会の多くない準レギュラーや控え選手にエラーが多いことに気づく。代表的な例を挙げてみると小幡竜平が54試合で9個、マルテが31試合で8個、ボーアが97試合で8個、北條史也が35試合で5個、植田海が69試合で5個となっている(出場試合数は守備に就いた試合数)。

 キャンプイン直前に、臨時コーチを務めることが決まっていた川相昌弘さんに話を聞く機会があったが、その時も阪神のデータを見て、守備固めで出場した選手が機能していないということを話していた。小幡は高校卒2年目だったということで将来を考えて経験を積ませるという意味合いが強かったかもしれないが、それ以外の選手も守備力の底上げが必要なことは間違いないだろう。

 もう一つ気になるのが投手の失策数の多さである。昨年のセ・リーグの投手で失策を記録した人数と合計数を多い順に並べると阪神12人(17個)、ヤクルト9人(10個)、中日8人(9個)、DeNA6人(8個)、広島5人(7個)、巨人2人(2個)となっている。いかに阪神の投手が多くのエラーを記録しているかがよく分かるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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甲子園での試合がカギ?