この後、ネットで花見宴会目撃情報があった恵比寿東公園(通称タコ公園)と友人情報の高円寺・蚕糸の森公園を見に行ったが、花見客はなし。
4月1日、ネットでも目撃談が多い多摩川べりへ。田園調布の多摩川台公園は子供連れのセレブ風の奥様ばかりで、宴会客は皆無。桜を求めて多摩川べりを彷徨(さまよ)っていたら、10人以上の男女混合大集団を発見。しかも音楽をかけて結構楽しそうに騒いでいる。
「お花見、楽しそうだね」と話しかけると、「花見じゃないよ、新歓コンパ」と面倒くさそうなお返事。入学式の新入生を狙って新人勧誘した後のサークル仲間の宴会らしい。「大人数なのでお店には入れないから、誰もいない河原に来ただけです」という。イベントサークルだという彼らの本日の勧誘成果はゼロ。「コロナのせいかな。俺たちのサークル、人気なかったよ」と代表格の男子が気落ちした声で言うと別の仲間が「だからやけ酒でーす」と楽しそうに笑った。
最後に向かったのは夜の代々木公園。ライトアップもなく真っ暗だが、遠目に何組か集まっているシルエットが見える。さっそくシートに座るカップルの話を……と近寄ったとたん、2人は濃厚接触し始めた。花見目的じゃなかったのだ。
のぞき犯に間違えられぬようカップルを迂回して、にぎやかな8人組に接近。缶ビールを積み上げ、たくさんのお菓子を広げている。同じ飲食店に勤務する仲間たちで、仕事終わりに外飲みしに来たと、すでに酔っ払い気味の一人が説明してくれた。
「花見だけど、桜はない(笑)。だから花見じゃない」などと、カラミ口調のその男性の頭をポカリと殴り、酔ってない女性が説明してくれた。
「毎年、店の常連さんも呼んで明るい時間から花見をしているのに、去年も今年も中止でね。花見奉行のこの人、欲求不満で荒れ気味なんです」
花見大好き日本人の“我慢”もかなり限界にきているのかも。(本誌・鈴木裕也)
※週刊朝日 2021年4月16日号