両者ともにスポーツを盛り上げたいという思惑が一致したことで、共催が実現した。

 とはいえ、より実質的なメリットを勘案したうえで、手を握り合ったところもある。

 櫻井さんは新たなファンの獲得、認知度の向上、コスト面で共催のメリットがあると語った。

「Vリーグ(男子)、サンバーズさんの客層はやはり女性が多い。一方で、われわれのチーム、Bリーグ全体でみても、客層は男女半々。チケットの購入データを見る限り、お互い客層はかぶっておらず、新しいお客さんを発掘するきっかけになると思いました」

 大阪エヴェッサの観客層は、大阪中心部から北部で、男女とも20代後半と40歳前後がボリュームゾーンだという。40歳前後は小学生の子を持つファミリー層が中心だ。

「われわれも20代後半の女性はボリュームゾーンの一角ですが、そこをさらに強化したかった。継続的に若い層を取り入れていかないと、ファンの高齢化が起こります」(櫻井さん)

 また、共催によってチームの認知度を高めるきっかけにしたいという思惑もあった。

「エヴェッサの認知度は、大阪府で3割くらいしかありません。7割の人が知らない。Vリーグを見ている人の中に、(エヴェッサの試合を見てもらって)新しいお客さんを増やしていくことが必要です」(櫻井さん)

 新しい客層の開拓はサントリーにとっても課題だった。

「バレーのファンは20代から40代の女性が多いが、バスケはよりファミリー層が多い。ファミリー層が(サントリーサンバーズを)今後知ってもらうきっかけ作りにしたかった」(吉田さん)

 さらに、コスト面でのメリットは両者に大きな魅力だった。

「双方ともに試合に必要な機材を持ち込むと、当然コストがかかります。共催できれば、できるだけエヴェッサの使用機材を使うことで、サンバーズさんの試合開催費用を含めた総コストを下げられます。費用を抑えることで、互いに試合演出などに使うこともできます」(櫻井さん)

 損益計算書をお互い見せ合い、業務の重複部分を確認していった。

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「お客さんを引っ張り合うのはナンセンス」