Ayase:ものを書くことに興味があっても、なかなか書く機会がない人が「YOASOBIが楽曲をつくるんだったら、私もちょっとやってみようかな」と思って、それが書き始める一歩になって、もしかしたらいずれ作家に……という話もあると思うので、扉を開ける一つの手助けができたらいいなと思っています。

林:別の人の表現と、お二人の表現とが重なってケミストリー(化学反応)となって、とんでもないものができていくわけですね。「夜に駆ける」のあとの「群青」という曲も評価が高いですけど。

Ayase:あれはお菓子のCMとのコラボでもあったので、『ブルーピリオド』という山口つばささんの漫画を元にした、CMのストーリーテキスト(「青を味方に。」)を原作にして楽曲にしました。

林:今度のシングル「怪物/優しい彗星」も聴かせていただきましたけど、すーっと入ってくるようなやさしいメロディーでした。詞が素晴らしいですよね。たとえば「強く強くなりたいんだよ 僕が僕でいられるように」とか。これは実際にテレビアニメ(「BEASTARS」)の中にある言葉なんですか。

Ayase:具体的にこのワードがあるわけではないです。読み進めていくうちに、レゴシという主人公のハイイロオオカミの感情みたいなものを、僕が感じ取った言葉として表現したという感じです。

林:「誰かに救われたい」と多くの人が思っている時代だからこそ、こんなふうに研ぎ澄まされた言葉って真っ直ぐ心に刺さってくる感じがしますよ。

Ayase:そう言っていただけると光栄です。

(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力/一木俊雄)

YOASOBI/コンポーザーのAyaseとボーカルのikuraによる2人組の音楽ユニット。小説・イラスト投稿サイト「monogatary.com」に投稿された小説を音楽にするプロジェクトから2019年に誕生。星野舞夜の小説「タナトスの誘惑」を原作としたデビューシングル「夜に駆ける」がストリーミング再生回数4億回を突破、Billboard Japan 総合ソングチャート“HOT100”2020年年間チャート1位をはじめ、配信チャートを席巻。最新CD「怪物/優しい彗星」が好評発売中。

週刊朝日  2021年4月16日号より抜粋

>>【対談2:「夜に駆ける」再生4億回、給料アップ YOASOBI「ぶっちゃけて言うと…」】へ続く

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