と横山さん。S&P500は米国の格付け会社スタンダード・アンド・プアーズが1957年に算出を開始した歴史のある指数だ。

 日本ではNYダウ平均株価のほうが有名だが、NYダウは米国の優良企業30社のみの株価を単純平均したもの。より幅広い米国の優良企業の株価を反映したS&P500のほうが、資産運用の対象としては人気だ。
 
 実際、S&P500は1990年からの30年間で上げ下げしながら10倍以上も上昇している。

「ここ30年間は米国がナンバーワンでしたが、今後はわかりません。『とりあえず、これから10年』というならS&P500での『逃げ切り作戦』でかまわないと思いますが、『20年、ほったらかしにしたい』のであれば全世界株式を勧めます。

 中国をはじめとする新興国の成長の恩恵も受けられますし、米国の勢いが弱くなったら中身の配分を変えてくれますから。

 一方、米中対立の激化など中国リスクに敏感で、しかも米国一辺倒も怖いという人は、消去法で先進国株式の投信が候補になるでしょう」

 4月13日発売の「AERA Money2021春号」では、ここで紹介した世界3大指数に連動する、つみたてNISA対象の投信を調査し、全掲載。さらにそれぞれ2本ずつ、横山さんのおすすめ投信にマークをつけている。コストの安さと純資産総額のバランスで選んだ「鉄板の投信」だ。

 その中から3本を紹介しよう。

【1本目】
楽天・全米株式インデックス・ファンド/楽天投信投資顧問

【2本目】 
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)

【3本目】
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド

 シンプルな指数を使い、コストも安く、純資産総額もしっかりあって(運用会社側も)パフォーマンスをキープしやすい、という条件を兼ね備えた鉄板の投資信託だ。初心者にも自信をもっておすすめする。

※アエラ増刊『AERA Money 2021春号』より抜粋

(取材・文/安住拓哉、編集部・中島晶子、伊藤忍)

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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