アメリカでの日米首脳会談(日本時間17日)で今夏の東京五輪・パラリンピックについてバイデン大統領から支持を取り付けた菅義偉首相。アメリカ訪問前には二階俊博幹事長の五輪中止発言が飛び出すなど、危惧する声もあった。
「アメリカは大選手団を送り、金メダル獲得数でも常にトップクラス。アメリカから東京五輪について賛同が得られず、選手派遣が見送られるような事態になれば、他国も共同歩調をとる可能性が高く、開催中止に追い込まれる危険性があった。協力は得られるはずと、事前のアメリカとの折衝である程度、聞いていたが、バイデン大統領の言葉を聞いて正直、ホッとした。菅首相も同じ心境だと思います」(官邸関係者)
訪米前にアメリカと強いパイプを持つ安倍晋三前首相を詣で、根回しに励んできた菅首相。しかし、アメリカの顔を立てると、中国のご機嫌を損ねる。中国と強いパイプを持つ二階幹事長の機嫌も悪くなり、新しい「火種」を生みかねないのだ。
日米首脳会談の共同声明では東シナ海や南シナ海へ進出を強める中国に対し、「中国の不法な海洋権益に関する主張及び活動への反対」と強い言葉で非難した。
「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」
「香港及び新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念を共有する」とも記された。
香港、マカオをすでに手中にし、尖閣諸島や台湾に軍事的な圧力を展開する中国。将来的に台湾の統一も視野に入れるが、アメリカがそれをけん制する内容が盛り込まれたのだ。日本とアメリカの首脳会談で「台湾」について盛り込まれるのは、52年ぶりだ。また、香港や中国の新疆ウイグル自治区の人権問題も「深刻だ」という懸念も示された。
中国はこの共同声明に対し、「内政干渉だ」「中国の国家主権を守っていく」などと強く反発している。アメリカと中国はトランプ政権時代からギグシャグし続け、バイデン政権ではさらに対立が深まりつつある。