

つみたてNISAで人気の投資信託、ナンバーワンは「S&P500」。その脇でジワジワと純資産総額を伸ばしているのが「全世界株式」だ。「AERA Money 2021春号」では、専門家と資産1億円達成の個人投資家に、ビギナーが買うならどちらがいいのかについて取材している。
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ある程度、投資信託について調べたビギナーは「S&P500か全世界株式か」と悩み、立ち止まるものだ。
S&P500は米国の優良企業500社の株価を指数化したもの。その選別基準は厳しい。
株価に発行済み株式数を掛けた「時価総額」が一定以上あり、発行済み株式数の50%以上が浮動株、4四半期(=1年)連続で黒字であることが最低条件だ。
一方、全世界株式は、米国だけでなく、中国や日本、イギリスやカナダなど世界中の株式が入っている。
対象の投資信託(以下、投信)が連動を目指す株価指数は、モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナルの「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCIAC)」が最もポピュラーだ。
ファイナンシャルプランナーの横山光昭さん(前出)は言う。
「S&P500と同じように時価総額で指数を算出する日本のTOPIX(東証株価指数)の場合、東証1部に上場していればたとえ赤字でも、不祥事を起こしても、指数として勘定します。
その点S&P500やMSCI指数はこまめに赤字企業を排除し、市場評価も高い企業を新たに組み入れていることもあり、ここ数十年は右肩上がりの上昇が続いています。
指数自体が業績不振な企業を排除し、有望企業を積極的に取り込む仕組みになっているんです」
S&P500と全世界株式の1990年以降のデータから、利益の差を検証してくれたのはニッセイ基礎研究所の水野友理那さん。
「31年分のデータをもとに、任意の時点から10年間、毎月1万円、総額120万円をつみたて投資した場合、それぞれの利益の平均がいくらになるかを算出しました。すると、全世界株式(MSCIAC)の平均175万円に対し、S&P500は198万円でした」