「30代や40代の利用者が増えました。移住には地域や家だけでなく、人とのつながりも重要。サイトでは地域の担当者らの顔が見え、関係を強めてもらえるような仕組みを用意しています」

 コロナによって生じた“移住熱”は、土地の価格にも表れている。国土交通省が3月にまとめた1月1日時点の公示地価は、繁華街周辺などを中心に全体的に下げが目立った一方、埼玉や千葉、神奈川といった都心から比較的アクセスのよい郊外の一部は上昇基調を維持した。軽井沢や熱海といった別荘地で取引が活発なエリアもある。ただし、不動産コンサルティング会社・さくら事務所(東京都渋谷区)会長の長嶋修さんは「現段階では不動産市場を大きく変えるほどの動きとまでは言えない」と指摘する。

「完全にリモートワークが可能な業種や人はまだ限られますし、在宅勤務でも都心から離れられない人も少なくない。軽井沢や熱海などの別荘地や鎌倉、湘南、房総といった都心に近い郊外のエリアが人気なのは、そうした背景があるのでしょう。郊外の地価の値上がりは、都心部の地価が上がった影響のほうが大きい」

 移住先選びには、ブームに踊らされず、安心して暮らせる土地を冷静に選ぶ必要がありそうだ。(本誌・池田正史)

週刊朝日  2021年4月30日号より抜粋

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