俳優、演出家、脚本家として活躍する河原雅彦氏は、最近、コンビニのレジで見る「年齢確認ボタン」について、こう話す。
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いつ頃からこうなったんだっけ? コンビニでタバコを買う時、レジの液晶画面の年齢確認ボタンをポチッとタッチせねばならなくなったのは。
喫煙者の方なら誰しも感じるだろうけど、あれってホントなんの意味があるんでしょ?「どう見たって、おっさんじゃん!」って風貌の自分にさえ、それは等しく義務づけられており、もうただただ面倒臭くて仕方がない。
行きつけのコンビニだとその辺を察してくれて、バーコードを読み取った後、自ら確認ボタンを押してくれる気さくなバイトのおばちゃんがいるのだけども、先日、「店長にきつく注意をされたもので……」と、とっても申し訳なさそうにタッチを促されたので、なんだかこっちまで申し訳なくなってしまった。その時は飲みたくもないカルピスウォーターを思わず追加で買ってしまったよ、別におばちゃんの得にもなんないのに。
もうさ、ナンセンス極まりないよね? チェックする側もされる側も、まるであの工程に意味を感じてないんだから。たとえ未成年がレジにタバコを持ってきても、「こいつを押させときゃ、後はもう知らないですよー」って責任転嫁してるだけ。
成人識別ICカードなる仰々しい冠がつけられたtaspo(タスポ)にしたって、まったくと言っていいほど機能してないじゃん。taspo持ってる大人に借りれば、誰でも平気で買えるっつーの。これも未成年にタバコが行き渡らないための予防線としては、あまりにお粗末としか言いようがない。
つか、お粗末を通し越して、頭悪すぎねぇ? タバコの値段を引き上げてまで、巨額の費用をかけてなにやってんねん!と言いたくもなりますわな。官僚の顔色うかがって、タバコ会社が取った苦肉の策でしょうが、ただでさえ喫煙者の立場は年々隅っこに追いやられてるっていうのに……ホント勘弁してよぉ。
そんなに未成年にタバコを売りたくないなら、国民一人一人に年齢関係なく身分を証明するカードを配布して、それを正確に解析するシステムを導入するしかないですやん、普通に考えて。しかし、しゃーない。タバコ吸うにはあんなしょーもない確認ボタンでも、今は押さなしゃーない。だったらいっそ、もっと有意義なボタンもあればいいのに。
コンビニでも薬局でもいいよ。たとえばコンドームを買う時に、『ついついムードに流されて、つけずに済まそうとしないで下さい』とか『きっちり根元まではめて下さい』とかって画面に出てきたら、自戒の念を込めつつ、ハートのこもった指先でポチッと押しちゃうでしょ、確認ボタン。世に溢れる予定外の妊娠を防ぐ効果、結構あると思うな。行為の最中、エロターボ全開で勢い余った男子に、「コラ! 確認したでしょ!」って、女子も言いやすいじゃんね? 言葉が堅い分、妙な威圧感があるし、エロエロ男子も一瞬素に戻って、「あ、はい」って返事しそう。
世の偉い人よ。国民はそんな意味のある確認ボタンを待ってます。多分。
※週刊朝日 2013年6月14日号